鉄骨造の貸店舗の雨漏り改修を頼まれました。
何回か見てもらったけれど、原因が分からない、とのことです。
「大雨が降って、雨漏りが再現したら電話をしてくださいね」
とお伝えして、しばらくは様子見です。
すると、『雨漏りがしました!』との連絡が入りました。
さっそく現場へ急行し、現状確認です。
確かに、天井は雨漏りで濡れています。
天井材を解体して、天井裏を覗いてみました。
やはり、柱には雨が垂れてきて濡れています。
この水滴をたどっていきます。
H鋼の梁から、ポタポタと水滴が落ちてきています。
さらに水滴の上流へとたどっていきます。
赤いのは鉄骨です。
グレーのものは、谷コイルという板金を折り曲げたものです。
谷コイルとは、雨樋です。
普段みなさんが見かける雨樋は、プラスチックの軒樋ですね。
大型の建物は、屋根に落ちる雨の量がとても多いので
住宅用の樋では、樋があふれてしまいます。
今回の鉄骨の店舗は、大きな屋根なので雨水も大量です。
そこで谷コイルという板金で、箱型に折り曲げて
大きな樋を作ります。
ただ問題があって、1本の長さはせいぜい4mぐらいです。
建物が30mの長さがあれば、8本の箱をつなげるのです。
そして案の定、箱のつなぎ目から水滴が落ちていました。
あとは屋根の上に登り、箱の継ぎ目を防水処理します。
ところが、ここからが面倒なんですよ。
箱の中は、こんなに汚れているのです。
防水材料が箱に密着するためには、これをきれいに掃除します。
狭い空間に手を入れ、ゴミと泥をシャベルでかき出します。
そのあと、雑巾でふき掃除をして、乾かします。
掃除が終わるころには、手は引っ掻き傷で赤くなります。
そして2時間後にやっと防水工事がやれるのです。
部屋に戻り、天井材を張り替えて、やっと完了です。
それでもすぐに原因が分かり、簡単な仕事でした。