
店の前に到着した宅急便のドライバーが、電話をしてきました。
「神仙堂薬局はどこに引っ越しましたか?」
あまりの変わりように、店舗が引っ越したと勘違いしたドライバーさん
ドライバーさんの目にしたのは、この違いでした。
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藤枝市岡部町の相談薬局 神仙堂薬局 が今回の現場です。
今回は、築40年を過ぎたコンクリート2階建てのリフォームです。
親子3代続く地元では、誰もが知っている薬局さんです。
お客様からの要望
・築40年のRC造の住居を、店舗に変更する
・元の店舗は解体し、駐車場にする
・玄関の位置を変更して、駐車場の正面に向ける
・元の玄関は、庭からの勝手口にする
・薬局に見えない相談薬局にしたい
・間接照明を入れたい
・ホテルのロビー・ラウンジのような空間にしたい
簡単に要約すれば
漢方相談薬局だけれど、ホテルのような落ち着いたインテリアで
しかも、漢方相談薬局には見えない店舗を作りたい、ということです。
そこで私が考えた方針は、3つでした。
1 漢方は自然素材なので、インテリアにも素材感が伝わるようにしたい。
木のドア・ステンドガラス、鉄製の門扉に階段手すり
2 漢方は伝統、それは時の流れが愛着に変わるアンティークとして表現する。
3 木の茶色に移りこむ、ステンドの光 まるで教会のような空間。
それでは、実際にどのように生まれ変わったのか、ご案内しましょう
1 まずは解体工事
お店全体のレイアウトを考えた時に、問題になったのが玄関の位置でした。

元の駐車場の屋根下にあるのが、玄関です
来店するお客さんの動線を考えると、この場所では入り口が分りません。
新しくできる駐車場からの見た目は、この角度です。

新しい駐車場からの目線
動線を考えれば、この掃き出し窓を玄関にするのが、一番です。
掃き出し窓は、リビングにある縁側の窓でした。

リビングの窓 ここが玄関に生まれ変わります
リノベーションの方針も決まったので、いよいよ解体工事です。
今回は、住宅を漢方薬局に作り替えるので、内部は全て解体します。

2階のすべてを解体します

2階はすっかりスケルトンになりました

1階もユンボ2台で解体です

1階もすっかり、スケルトンになりました
解体が終わったところで、最初に浄化槽を交換することにしました。
もともと駐車場だった場所に、古い浄化槽がありました。
今のように、微生物で分解・浄化するような浄化槽ではありません。
ただ、溜めておく、沈殿槽のようなものでした。
これだと臭気が上がってくるので、交換します。
ところが、ユンボで掘り始めると、なんと地下水が湧き始めました。

地下水が湧きはじめました。

ついにポンプを投入して、くみ上げます。

何とか、無事に設置を完了しました
次は、防湿コンクリートを打設します。
今回は店舗になるので、1階は土足で使用することになります。

ブロックで囲ったところは、和式トイレになります
2 内装工事が始まりました。
2-1 まずは、床を作ります。
置床という工法で、マンションで使われている工法です。

1階の床 工事中。断熱材も充填します。

2階の床を工事中

合板を張って、完了です。シャワーの配管もOK
2-2 断熱材の工事です
コンクリートの建物だと、断熱工事をどうするのか?
最近のマンションでは、ウレタン断熱材を吹き付けしています。
私のやり方は、違います。とっても単純です。

間柱を設置すると、壁には5cmの懐ができる
すべての外壁面には、写真のように間柱を並べます。
そこに、ビニールに袋詰めされた断熱材を充填します。

緑色のテープで、しっかり張り合わせます

大変な階段の吹き抜けも、きっちり充填します
隣り合う断熱材の、ビニールの耳を重ねて、テープで張り合わせます。
これで、ビニールによる気密処理が完成します。
この方法で断熱工事をする理由があります。
店舗の場合、使い始めて気づく「こうすればよかった・・」があります。
その大半が、コンセント・LANような電気配線に関することです。
外壁面の間柱を設置するので、壁には5cmの懐があります。
この懐のお陰で、電気のリフォームがやりやすくなります。
2-3 アンティーク・ステンドで作り込む
今回、随所にステンドグラスを使っています。
京都のお店「ウェリントン」に行って、買いだしてきました。

玄関のステンドドア 14万円

玄関ドアの欄間 ステンドグラス たったの、2万円 超お買い得です

1階から2階への通路 ステンドドア こちらは14万円

洗面所のエッチングガラスドア 仏国 1920年代 16万円

勝手口のアイアンドア 1930年代 英国 18万円

待合ホールのステンドグラス 1930年代 英国 まるでカボチャの馬車のようなモチーフ 8万円

洗面所のステンドグラス 2万円 1930年代 英国
これらのステンドは、1930年代の英国のアンティーク品です。
漢方薬のイメージとしては、日本の伝統的な治療法
歴史を感じられて、ホテルのような雰囲気を演出するにはピッタリです。
実際にどのように使われたのか、ご紹介します。
お店の玄関正面です

コンクリートの壁に、木で枠組みを作ります

欄間として、ステンドを組み込みます

室内から見た、完成したステンドグラスの玄関
店内のドアに利用します

お色直しされた、ステンドドア 丸いガラスのデザインがかわいい
からし色のドアの裏側は、なんと真っ白。
まったく違う色で塗り分けています。

同じドアの、反対側は違う真っ白に ピンクの縁取りで、かわいい色遣い
表と裏で、まったく違う色にすることができるのが、魅力です。
待合室側は、黄色いガラスタイルに合わせて、からし色。
勝手口側は、勝手口と同じピンクで縁取り、アクセントを付けます。
こちらが、ピンクに仕上げた勝手口

ピンクに塗り替えた勝手口
ピンク色にお色直しした瞬間から、通行人が覗き込み始めました。
中には、「間近で見たい」と声を掛ける方もいました。
ピンクのドアの上、欄間はこんなガラスです。

ロンデルという丸いガラス 特注デザインです

洗面所のエッチングガラスドア
80年~100年近い、アンティークのドアは扱いに苦労します。
一番苦労するのが、ドアの反りと歪みで、修正ができないことです。
この反りと歪みに合わせて、枠を作り、開閉できるように調整します。
そのため、取付を嫌う工事会社も多いので、事前に確認してくださいね。
ステンドのパネルをはめ込みます

白雪姫のカボチャの馬車のようなモチーフ まさに掘り出し物の逸品
こんなステンドグラスのパネル1枚で、部屋の雰囲気は変わります。
130㎝×75㎝で7万円なら、本当にお買い得です。
このサイズを新規に制作してもらえば、20万円以上はします。
アンティークなら7万円です。

簡単に取付できるのに、なぜか嫌がられる?
ただ、1つだけ注意しておいたほうが良い事があります。
取付工事を快諾してくれる会社が少ないことです。
ましては、新築工事の途中で依頼すれば、なおさら対応しません。
事前に工事会社の了解をもらうことを大切です。
特別に制作したステンドグラス
今回、特別に制作依頼をしたステンドが3枚あります。制作依頼したのは「ステンド工房 ニャーゴさん」
こちらから要望したデザインのポイントは、生薬です。
生薬として使われる、花や草木の中からモチーフを探しました。
やまつむぎ、かりん、トリカブト、ナツメグ、やまゆり

やまつむぎ

かりん やまゆり

とりかぶと なつめぐ
漢方相談に来られた患者さんは、2階の相談室に向かいます。
階段を上ると、この3枚のパネルが目に入ります。
相談室に入ると、ここにパネルが飾られています。

階段ホールから見る

相談室から見る
2-4 相談室に本棚をつくる

間仕切り壁の裏には、書斎

壁の裏は、なんと本棚

天井裏には、本棚の転倒防止アンカー
相談室は、執務室としての書斎も兼ねています。
そこで、乱雑になった執務室を目隠しするようにしました。
目隠し壁の裏は、本棚になっています。
2-5 ガラスブロックを組み立てます。

色々な柄を混ぜるので、仮置きします

仮置きしたとおりに、積んでいきます
このガラスブロックは、階段ホールにあります。
階段ホールを明るくし、夜は光がこぼれるようにしました。
2-6 階段を作ります

大工さんの手作りの階段です

元の階段ホールは、こんな感じ

ガラスブロックでより明るくなりました

光が届くように格子の踊り場

転落防止の柵もアンティークです

花梨のヘリンボーン模様で張りました

待合コーナーから見える階段
2-7 電気配線を整理する方法

1階ー2階の電話線を整理します

1階ー2階のLANケーブルを整理します
このお店では、電話相談もあれば、対面相談もあります。
そのためお店スタッフは院長と内線で頻繁に連絡を取り合います。
また、すべての部屋にLANケーブルの差し込み口を作ります。
そこで、1階-2階の中継BOXを作り、配線を整理しました。
2-8 待合ホールと間接照明
要望のあった、ホテルのロビーのような空間
これを実現するために作ったのが、間接照明の演出でした。

間接照明を隠すアゴを作ります

モールは、クロスと同じ白色に調色して塗りました

実際に照明がつくと、こんな感じです

モールには、金色の組みひもを装飾しました
3 ビフォー&アフターを整理してみましょう
リビングにあった掃き出し窓は、新しい玄関ポーチになりました。
縁側のブロックを解体したことで、ベランダが玄関ひさしとなりました。
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玄関の前には、アイアンゲートを取り付けました。
お店が閉店すると、ゲートは閉じられカギがかかります。

玄関のゲートを閉める南京錠です
住宅の頃の玄関は、ピンクのアイアンドアの勝手口となりました。
女性好みのビビットなピンク紫で、出勤が楽しくなるカラーです。
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リビングの掃き出し窓は、玄関に変わり
ステンドグラスを通した光が、受付ホールへと降り注ぎます。
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1階の和室は、調剤室と倉庫に生まれ変わりました。
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お風呂場は、トイレと手洗いコーナーに変わりました。
ミラー、モザイクタイル、ステンドグラス、金色の水栓蛇口、カウンター
狭い空間ですが、すべての素材が入っています。
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階段ホールは、かりん木でヘリンボーン様式で、手間暇かけて作り上げました。
ガラスには、アンティーク調のうろこ模様ガラスをつかいました。
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2階の寝室は、相談室に生まれ変わりました。
押入れの向こう側が、階段ホールです。
階段ホールからの光が、相談室のステンドを照らします。
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こうして出来上がった、お店
さあ、お客様の要望通りとなったのでしょうか?
こちらの動画からご覧になれます。

3代続く薬局店の歴史を展示
